版権イラストは、なぜ「売っちゃダメ」なのか。調べたら、思ったより重い話でした【副業とお金のリアル・Vol.15】

版権イラストは著作権侵害になる?虫眼鏡で著作権マークを確認するキャラクターのイラスト|副業とお金のリアルVol.15
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📝 この記事でわかること

  • 版権イラストを「描くだけ」と「売る」では、何が違うのか?
  • もし著作権侵害になった場合、罰則はどのくらい重いのか?
  • 実際に摘発・警告された事例には、どんなものがあるのか?

前回、デッサン、イラスト勉強のつもりで版権イラストを作成する記事を書きました。

正直あの記事を書きながら、ずっとモヤっとした何かが引っかかっていました。

それは「版権作品は売っちゃダメ」と、なんとなく分かった気になっていたけれど、じゃあ具体的に何がどうダメなのか、きちんと説明できなかったことでした。

なんとなくの理解のままもどうかと思いましたし、Instagramを始めたとき、有名なアーティストの方がトレパク疑惑で炎上したことも気がかりな点でした。

そのため今回は(AIの力も借りて笑)きちんと調べることにしてみました。

※私は法律の専門家ではありません。以下は調べた内容の紹介であり、法的な助言ではありません。個別の判断が必要な場合は、弁護士など専門家にご相談ください。

目次

「描く」と「売る」の間にある、大きな壁

調べて最初に分かったのは、「ファンアートを描くこと自体」と「それを公開・販売すること」は、法律上まったく別の話だということでした。

自分の手元で楽しむだけなら、著作権法が認める私的利用の範囲に収まります。ここまでは特に問題ありません。

ところが、それをSNSに投稿したり、ましてやプラットフォームで販売したりすると話は変わります。著作権者が持っている「複製する権利」「公表する権利」を、無断で踏み越えることになるからです。

罰則、正直そんなに重いんだ、と思いました

調べていて一番驚いたのがここです。著作権侵害は、刑事罰の対象になります。

条文を読むと、10年以下の拘禁刑、または1000万円以下の罰金、場合によってはその両方が科される可能性があると書かれています。
※2025年6月の刑法改正で「懲役」は「拘禁刑」という名称に変わりました。中身が軽くなったわけではありません。

もちろん、これは最大でこう、という上限の話です。ただ、「バレなければ大丈夫」で済ませていい重さの話ではないですね。

ちなみに著作権侵害は「親告罪」といって、権利者側が訴えないかぎり刑事事件にはなりません。とはいえ、これは「訴えられなければセーフ」という意味ではなく、あくまで「権利者の判断次第」というだけの話です。安心材料にはなりません。

※厳密には、原本そのままの海賊版を対価目的で販売するようなケースに限り、権利者の告訴がなくても処罰される「非親告罪」の対象になることがあります。私が描いているようなファンアート・二次創作は、この対象には当たらず、引き続き親告罪の範囲内です。

百歩譲って権利者側が訴えなかったとして。今は警察より恐ろしい「ネット特捜班」がいますからね汗。

もうひとつの壁、「パブリシティ権」

実在の人物を描く場合は、著作権とは別に「パブリシティ権」という壁もあります。

これは、有名人の肖像や名前が持つ「顧客を引きつける力」を、本人が独占的に使える権利のことです

2012年の最高裁判決(いわゆるピンク・レディー事件)で、この権利が初めて最高裁でも認められました。

ただ、この事件自体は、実際には「訴えた側の主張は認められない」という結論で終わっています。写真の使い方が、あくまで記事の内容説明の範囲だったと判断されたためです。

つまり「肖像を描いたら即アウト」ではなく、「その肖像の集客力そのものを、商品として利用しているかどうか」が判断の分かれ目になるようです。境界線は思ったより繊細で、素人判断では危ういところだと感じました。

実際に、こういう事例がありました

調べる中で、実際に起きた話がいくつも見つかりました。「まさか自分には関係ない」と思っていたものばかりで、正直ちょっと背筋が伸びましたね。

刑事事件・逮捕|2025年2月・石川県

フリマアプリで無許諾グッズを販売所持、22歳女子大学生が逮捕

人気アニメのキャラクターイラストを無断で複製したグッズを、フリマアプリで販売目的で所持していたとして、著作権法違反の疑いで逮捕されました。個人がフリマアプリで小規模に売っていただけでも、立件される事例です。

刑事事件・逮捕|2020年10月・北海道

キーホルダーとペンケースの無断販売で、著作権法・商標法の両方違反

人気アニメのキャラクターイラストを無断複製したキーホルダーと、登録商標を無断使用したペンケースを販売・所持していたとして、男性2名が逮捕されました。イラストだけでなく、作品名やロゴが入ると「著作権法」と「商標法」の二重の問題になる、という事例です。

刑事事件・書類送検|2021年11月

ケーキの上にアニメキャラを複製し販売、書類送検

著作権のあるアニメキャラクターをケーキの上に複製して販売した人物が、書類送検されました。「食べ物にイラストを載せただけ」でも、複製・販売という行為自体が著作権侵害にあたると判断された事例です。

民事訴訟・損害賠償

無断トレースTシャツの販売で、約170万円の支払い命令

あるイラストレーターの作品を無断でトレースしてTシャツやステッカーとして販売した業者に対し、裁判所が複製・販売の差止めと、損害賠償・慰謝料・弁護士費用の合計約170万円の支払いを命じました。逮捕されなくても、民事上の請求だけでこの金額になり得るという事例です。

事務所からの警告

ファンが作って販売していた非公式グッズに、事務所が注意喚起

あるアーティストの事務所が、ファンが作成・販売していた非公式グッズについて、「個人で楽しむ範囲を超えている」として注意を呼びかけました。逮捕や訴訟には至っていませんが、「販売した時点で、公式側の管理下に入ってしまう」ことを示す出来事だと思いました。

SNS炎上・企業コラボ撤退|2022年・イラストレーター

トレース疑惑ひとつで、積み上げてきた実績が一気に崩れた

人気楽曲のキービジュアルなどを手がけていたイラストレーターに、写真をトレースした疑惑がSNSで指摘されました。本人は盗用を否定しましたが、一部作品での無断引用は認め謝罪。逮捕や訴訟にはなっていませんが、コラボ商品の販売中止、企業とのコラボ解消が相次ぎ、積み上げてきたキャリアがほぼ止まりました。

これは版権作品の話ではなく、自分の作品づくりの姿勢そのものが問われた事例です。「訴えられなければセーフ」ではなく、「信頼を失えば、それだけで終わる」ということを、一番はっきり示していると思いました。同じように長く続けていきたい身としては、正直他人事とは思えませんでした(笑)。



これは版権作品の話ではなく、自分の作品づくりの姿勢そのものが問われた事例です。「訴えられなければセーフ」ではなく、「信頼を失えば、それだけで終わる」ということを、一番はっきり示していると思いました。同じように長く続けていきたい身としては、正直他人事とは思えませんでした(笑)。

プラットフォーム側にも、別のリスクがある

ここまでは法律の話でしたが、実は法律とは別に、もっと身近なリスクもあります。プラットフォーム側の判断です。

私自身、Displateで理由がよく分からないまま作品が非表示(Deactivated)になった経験があります。あれは版権とは関係のない理由でしたが、「プラットフォームは、こちらの説明を待たずに一方的に作品を止められる」という現実は、身をもって実感しました。

版権要素のある作品なら、なおさらです。AIによる自動検出や、権利者からの通報ひとつで、作品だけでなくアカウントごと停止される可能性もあります。せっかく積み上げてきた実績が、一瞬で消える。これは訴訟うんぬんより先に来る、もっと現実的なリスクだと思います。

調べてみて、決めたこと

今回いろいろ調べてみて、方針がはっきりしました。

版権イラストは、これからも「技術の練習」としては描くと思います。ただし、公開する場合は前回のように部分クロップや技術解説にとどめ、販売や本格的な作品公開はしません。

できるだけオリジナルの世界観だけで勝負する。遠回りに見えて、実はこれが一番安全で、一番自分らしい道なんだと、あらためて思いました。

次回予告

版権とは別に、歴史ものを描く私が気をつけたいことがもうひとつあります。次回Vol.16で、詳しく調べてみようと思います。

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この記事を書いた人

コロナ禍をきっかけに絵を約40年ぶり?に描き始める。「心に残る1枚を」をテーマに色々なジャンルで絵を描いてます。

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