📝 この記事でわかること
- なぜ、あえて「売る予定のない」版権イラストを描くのか?
- 「売れる・売れない」ではなく、好きだから描くという原点
- 表情・陰影・グレースケール・写実タッチを、どんな目的で練習したのか?
- そこで身につけた技術を、今後のオリジナル作品にどう生かしていくのか?
こんにちは、もりらんくるです。
最近、ブログの記事を書くことに力を入れていたので、作品紹介の記事が少し止まっていました。
「あれ?最近、絵を描いてないんじゃない?」
と思われた方。
ご安心ください。
ちゃんと描いてますよ(笑)。
むしろ、記事を書いている間にも、ちゃんと描いていました。
今回紹介するのは、その中からちょっと変わった3枚です。
「これは記事にできないな」と思っていた作品
今回の作品は、いわゆる版権作品です。
実在する人物や、既存のキャラクターなどをモチーフにした作品なので、私が海外プラットフォームで販売しているオリジナル作品とは扱いが違います。
そのため、
「この作品、販売しています!」という紹介をするつもりはありません。
これまでも、こうした作品はあえてブログでは取り上げてきませんでした。
でも、あるとき思ったんです。
「作品そのものを売る話じゃなければ、描いた意味はあるんじゃないか?」
今回の3枚には、それぞれ描いた目的があります。
表情。
陰影。
質感。
写実表現。
つまり今回は、作品紹介というより、
「この絵を描きながら、何を練習していたのか」
という、技術の振り返りとして紹介してみることにしました。
なぜ版権作品を描くのか?
現在、私が海外販売で中心にしているのは、大正浪漫、日本神話、歴史モチーフなどの作品です。
これは今後も、自分のメインテーマとして続けていくつもりです。
では、なぜわざわざ違うものを描くのか。
理由はシンプルです。
好きだから。
これが一番です(笑)。
「売れるから描く」だけではなく、「描きたいから描く」という気持ちも、やっぱり大切にしたい。
そして、もう一つ。人物を忠実に描くこと自体が、かなり良い練習になるからです。
特に実在する人物の場合、写真などで顔を見慣れているだけに、ごまかしが効きません。
目の位置が少し違う。鼻の角度が違う。口元の形が違う。それだけでも、「なんか違う」になってしまう。
だからこそ、デッサンの勉強になります。
「絵の基本はデッサンにあり」
これは、やっぱり今でも変わらないと思っています。
そこで時々、普段とはまったく違うモチーフを描いてみる。そこで得た感覚を、また自分のオリジナル作品へ戻していく。今回の3枚も、そんな意味合いがあります。
作品①:表情と陰影の練習

1枚目は、表情の作り方を重点的に練習した作品です。
今回、特に意識したのは、次の4点です。
- 目の中に入る光
- 頬に落ちる影
- 眉や口元の微妙な変化
- 光と影による感情表現
普段の大正浪漫作品では、比較的穏やかな表情を描くことが多いです。どちらかというと、「美しい」「可愛い」「落ち着いている」といった方向。
そこで今回は、あえて逆方向に振ってみました。強い感情がにじむ表情です。
怒りなのか。緊張なのか。少し挑発的なのか。
そうした微妙な感情を、口元や目元のわずかな変化だけで表現する。これが思った以上に難しい。
人物画では、ほんの数ミリの違いが、全体の印象を変えてしまいます。だからこそ、良い練習になりました。
作品②:グレースケールと革の質感

2枚目は、グレースケール表現と質感づくりを試した作品です。
今回は完成した全身イラストそのものではなく、特に練習した袖まわりの質感に絞って紹介します。
ここで意識したのは、大きく2つ。
① 革の質感を陰影だけで表現する
革ジャンのような硬い素材は、普段描いている着物や布とはまったく違います。柔らかい布なら、シワやたるみを描けば質感が出ます。でも革の場合は、「硬さ」や「厚み」を感じさせなければいけません。
そこで、光がどこに当たり、どこで反射し、どこに深い影が落ちるのか。色に頼りすぎず、面の陰影だけで素材感を出す練習をしました。
② 細部を描き込みすぎない
もう一つ意識したのが、「全部描かない」ことです。
金具やステッチなどを一つひとつ描き込みすぎると、逆に全体がうるさくなります。どこまで描けば「それらしく見える」のか。どこから先は省略していいのか。この加減を探る練習でもありました。
普段の大正浪漫作品では、革ジャンのような硬質な素材を描く機会はほとんどありません。金具の光り方ひとつとっても、着物の帯留めとは全然違います。こういう違うジャンルを描くと、「自分が普段、どれだけ似た素材ばかり描いているのか」にも気づかされます。
ちなみに私はバイク作品を描くこともあります。基本、メカ系も好きなんですよ。
だって男のコなんだから(笑)。
作品③:写実タッチで肌を作る

3枚目は、肌の陰影を写実寄りに作る練習です。こちらも全身を描いた作品ですが、今回は特に顔まわりの質感に注目しました。
意識したポイントは3つ。
① 肌を3層で考える
肌をいきなり細かく描き込むのではなく、影 → 中間色 → ハイライト、という大きな構造をまず作る。これだけでも、立体感がかなり変わります。
② 髪の毛を「一本ずつ描かない」
くせ毛のような髪は、全部を一本ずつ描こうとすると、逆に硬く見えてしまいます。そこで、束として捉えながら、必要なところだけ線を入れる。この感覚を練習しました。
「全部描く」ことと「リアルに見える」ことは、必ずしも同じではありません。
③ 「きれいにしすぎない」
ここが今回、一番面白かったところです。
無精髭。皺。肌のムラ。こうしたものを、普段ならつい消したくなります。でも、全部きれいにしてしまうと、逆にリアリティがなくなる。そこで今回は、「少し生々しさを残す」ことを意識しています。
女性をモチーフにした作品では、どちらかというと、美しく整える方向へ意識が向きがちです。だからこそ、今回はその逆。「美しく見せる」だけではなく、「その人がそこにいる感じを残す」という方向の練習でした。
版権作品だからこそ、できた練習
今回の3枚を描いていて感じたのは、「普段描かないものを描くことには意味がある」ということでした。
大正浪漫を描いているからといって、大正浪漫だけを描いていればいいわけではない。
革ジャンを描く。男性の肌を描く。強い表情を描く。グレースケールで描く。
そうやって普段とは違う方向へ振ってみると、逆に自分の得意な部分や苦手な部分が見えてきます。
そして、そこで得たものを、また自分のオリジナル作品へ戻していく。私にとって、版権作品はそんな「技術の実験場」でもあります。
これも、今後の人物表現には生かせそうです。
この3枚を販売する予定はありません
ここは、はっきり書いておきます。
今回紹介した3作品は、海外プラットフォームなどで販売する予定はありません。著作権などの問題もありますし、私自身もそこは慎重に扱いたいと考えています。
今回はあくまで、「こんな作品を描きました」という作品販売の紹介ではなく、「この作品を描くことで、こんな練習をしました」という制作記録です。
そのため、ブログでも作品そのものを販売へ誘導するのではなく、技術面や制作過程にフォーカスして紹介することにしました。
「売れるかどうか」だけが、絵を描く理由じゃない
海外プラットフォームに作品を出していると、どうしても、「これは売れるかな?」「海外で需要はあるかな?」「どのジャンルが伸びるかな?」と考えるようになります。
もちろん、副業としてやっている以上、それは大事です。
でも、全部が全部、「売れるかどうか」で描く必要はないと思っています。
好きだから描く。上手くなりたいから描く。試してみたいから描く。
そして、そこで身につけた技術を、また自分の作品に戻していく。今回の3枚は、まさにそんな作品でした。
「これは売り物じゃないんです。」
でも、「だから描く意味がない」わけでもありません。むしろ、売ることを考えずに描いたからこそ、純粋に技術と向き合えた部分もあったと思います。
これからも時々、こうした「販売しない練習作品」も紹介していきたいと思います。
次回予告
次回の「イラスト解説」では、「大正浪漫を描くとき、私が一番こだわっていること」について書いてみたいと思います。海外向けに作品を制作するようになって、改めて感じた、「日本らしさ」と「自分らしさ」の違い。そして、単に「和風」にするだけではなく、どうすれば「自分の絵」として成立するのか。普段の制作で考えていることを、少し掘り下げてみようと思います。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

コメント