この記事でわかること
- AIで「実在したっぽい記録写真」まで作ってみた話
- その過程で起きた、ちょっと間抜けな失敗
- 「これって著作権的に大丈夫?」を自分で検証してみた結果
- なぜAIは、新しく作った背景の中に実在する人物の名前を紛れ込ませたのか
- 次の「空想銅像」は誰になりそうなのか
こんにちは、もりらんくるです。
前編では、「空想銅像シリーズ」の最新作、熊谷直実の制作過程についてお話ししました。
まだ読んでいない方は、ぜひ前編からどうぞ。
今回はその続き。
完成した熊谷直実の銅像を使って、ちょっとしたAI実験をしてみました。
テーマは、
「この銅像が、もし本当に昔存在していたら?」
です。
「存在しなかった銅像」を、昔の記録写真にしてみる

前編でも少し触れましたが、私は以前から、戦時中に失われた銅像に興味がありました。
そこで今回は、
「もし、この熊谷直実像が大正~昭和初期に実際に建てられていて、その後失われていたとしたら?」
という設定にしてみることにしました。
つまり、存在しない銅像を、
「昔撮影された記録写真」
にしてしまおうというわけです。
私が描いている大正浪漫シリーズとも、ちょっとつながるテーマですね。
そこで、完成したイラストをAIに読み込ませ、
「大正~昭和初期に実際に撮影された記録写真のようなセピア調にしてください」
というイメージで加工してみました。
さらに、
- 古い帽子をかぶった人々
- 銅像を見上げる群衆
- 石造りの台座
- 当時の街並み
- 古い街灯
なども加えてみました。
もちろん、ここで生成された背景は、特定の実在写真をそのまま加工したものではありません。
AIに新しい背景として生成させたものです。
そして、できあがった画像を見て……
正直、ちょっと驚きました。
「あれ?皇居?金沢城?」

完成した画像を最初に見たとき、私の頭に浮かんだのが、
皇居と金沢城。
でした。
もちろん、そこを指定したわけではありません。
それなのに、石垣や堀、城門のような構造物が入り、なんとなく「昔の日本の城郭」の雰囲気が出ている。
「なんでこんな感じになるんだ?」
と、ちょっと面白くなりました(笑)。
AIに「熊谷市にある実在の場所にしてください」と指示したわけでもありません。
それでも、
「昔の日本にありそうな場所」
として成立してしまう。
AI画像生成の面白いところですね。
ところが、ひとつ大失敗

ここで、正直に告白しておきます。
試作した画像の一枚をよく見ると……
台座の石碑に、何やら文字が入っています。
拡大してみると、
「楠木正成公」
と読めるではありませんか。
……いやいや。
今回の主役は、
熊谷直実です(笑)。
熊谷直実の銅像を作っているのに、石碑には「楠木正成公」。
なんとも間抜けな仕上がりになっていました。
しかも面白いのが、私は「楠木正成」という文字を入力していません。
背景も、特定の実在写真を指定したわけではありません。
それなのに、AIがそれらしい碑文として、実在する人物名を入れてきたわけです。
「これって著作権的に大丈夫?」と考えた
ここで、もう一つ気になることが出てきました。
完成した瞬間は、
「これは自信作だ(笑)」
というテンションでした。
ところが、少し冷静になってみると、
「これって、著作権的に大丈夫なのか?」
という疑問が出てきました。
前編で実在する熊谷直実像について調べたこともあり、今回は特に慎重になりました。
参考資料を見ながら自分で描いたイラストを、さらにAIで「昔の記録写真」のように加工している。
そして、その中には自分が意図していない「楠木正成公」という文字まで入っている。
これは一度、整理した方がよさそうです。
そこで、生成過程を一つずつ振り返ってみました。
自分の判断が、途中でひっくり返った

最初は、「もしかすると、AIが実在する写真を参考にしているのでは?」
と疑いました。
実際、試作画像を比較してみると、台座だけを作った画像と完成版で、
- 群衆
- 城門
- 街灯
- 木
- 周囲の配置
などがかなり似ています。
「これ、実在する1枚の写真をベースに加工しているんじゃないか?」
と疑ったわけです。
ところが、さらに確認してみると、そうとは限りませんでした。
背景自体は、AIが新しく生成したものだったからです。
つまり、似ていたのは、
「同じベース画像に対して、さらに加工を重ねていたから」
とも考えられます。
そこで、判断を整理するとこうなりました。
ここで分かったのは、
「AIが作った画像だから安全」でも、「AIが作った画像だから危険」でもない
ということでした。
どの部分が、何を元に生成されたのか。
そこを一つずつ見ていく必要があります。
一番面白かった「なぜ楠木正成なのか?」

今回、個人的に一番面白かったのがここです。
なぜAIは、
「熊谷直実」ではなく「楠木正成公」
という文字を入れたのでしょうか。
もちろん、私はAI画像生成の専門家ではありません。
したがって、これが唯一の理由だと断定することはできません。
ただ、ひとつの可能性として考えられるのは、
「日本の騎馬武者像+石造りの台座+碑文」
という組み合わせから、AIが学習してきた「よくある日本の銅像」のイメージを呼び出したのではないか、ということです。
日本の騎馬武者像として非常に有名なのが、皇居外苑にある楠木正成像です。
そのため、
騎馬武者
↓
銅像
↓
石造りの台座
↓
碑文
という組み合わせから、AIが「それらしい文字」を生成する際に、楠木正成に引っ張られた可能性は考えられます。
もちろん、実際にAIが内部でどう判断しているのかは私には分かりません。
あくまで今回の結果から考えた仮説です。
でも、
「全部が自由に作られているわけではない」
ということは、今回かなり実感しました。
画像の中でも「自由度」が違う?
今回の画像を、自分なりに分解してみました。
特に面白かったのが、
「文字」です。
AI画像生成では、看板や碑文などの文字が不自然になることは珍しくありません。
ところが今回は、意味のある実在人物の名前らしきものが入っていました。
これは逆に、
「AIがそれっぽい文字を作っただけ」なのか?
それとも、
「実在する画像や情報に強く引っ張られた結果」なのか?
という疑問が残ります。
少なくとも、私にはその場で判断できませんでした。
だから今回は、安全側に倒して、
「楠木正成公」の文字は削除・修正する
ことにしました。
今回の実験で分かったこと
今回、実際にやってみて感じたのは、
AI画像生成は「全部をゼロから自由に作る魔法」ではない
ということです。
こちらが、
「昔の日本の騎馬武者の銅像」
というイメージを与えると、AIはそれに近い膨大なイメージの中から、
「こういうものだろう」
という画像を作ってきます。
そのため、
背景は新規なのに、細部だけ妙に既視感がある。
そんなことが起こります。
今回で言えば、まさに「楠木正成公」の文字でした。
だから今後は、
「AIが作ったから大丈夫」
と最初から考えない。
逆に、
「AIが作ったから全部危険」
とも考えない。
一つ一つの要素を確認する。
これを自分のルールにしたいと思います。
「存在しない銅像」を、存在したように見せる


ここまでやってみて、改めて思いました。
今回の「空想銅像」は、
存在しない銅像を描く。
そして、
存在しなかった記録写真まで作る。
という、ちょっと変な企画です(笑)。
でも、そこが面白い。
「こんな銅像が、昔本当に建っていたら?」
そんな架空の歴史風景を、自分の絵とAIを使って作る。
大正浪漫や昭和史が好きな自分にとっては、かなり相性のいい遊び方なのかもしれません。
もちろん、実在する歴史資料と架空の作品は、きちんと区別して表示する。
ここだけは大事にしたいと思います。
次の「空想銅像」は誰になる?

というわけで、
「空想銅像シリーズ」
また一体、新しい像が完成しました。
実在しないのに、実在感だけはやたらある。
そんな矛盾した作品を作っているわけですが、それもこのシリーズの面白さなのかなと思っています(笑)。
そして、もう次の候補も何人か頭の中に浮かんでいます。
果たして次は誰になるのか。
歴史上の人物を選ぶところから、すでにこのシリーズの制作は始まっているのかもしれません。
また作品が形になったら、このブログで制作過程を紹介したいと思います。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
次回予告:「空想銅像シリーズ、次のモデルは誰にする?」
候補に挙がった人物と、なぜその人物を銅像にしたいと思ったのか。次回……ではないかもしれませんが(笑)、いつかこのあたりも記事にしてみたいと思います。
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