はじめに
遂に始まった北中米サッカーワールドカップ。
私は1998年フランス大会で、日本代表が初めてワールドカップに出場した頃から応援しています。
本当なら選手の絵を描いて応援したいところですが、著作権の関係でユニフォームや選手の顔、公式ロゴなどを自由に使うことはできません。
一応(笑)、海外プラットフォームで作品を販売している身として、著作権の問題には敏感でなければなりません。
それは過去にAIから指摘され、痛感した経験でもあります(※AI活用術第11回に続く)。
だから今回は、自分の武器である大正浪漫作品で応援することにしました。
日本代表への敬意と、日本文化へのリスペクトを込めて描いてみました。
なぜ「蹴球」なのか
タイトルはサッカーワールドカップ。
しかし、それでは大正浪漫らしさがありません。
そこで「もし大正時代にワールドカップがあったら?」と想像し、「蹴球世界一決定戦開幕」というタイトルを付けました。
実際、大正時代にはカタカナの外来語はまだ一般的ではありませんでした。
サッカーは「蹴球」、野球は「野球」、バスケットボールは「籠球」。漢字で競技や概念を表現する文化が残っていた時代です。
もし大正時代にワールドカップがあったなら、袴と編み上げブーツを履いた女性が「蹴球世界一決定戦」を観戦しに行ったかもしれません。
そんな空想が、このタイトルになりました。言葉遊びであり、この時代へのささやかな敬意でもあります。
ユニフォームも顔も使わない応援
海外でイラストを販売していると、著作権の問題は避けて通れません。
実在する選手の顔を描いて販売することはできません。チームエンブレムやユニフォームデザイン、公式ロゴなども同様です。
過去に参考資料として使おうとした画像が著作権で保護されていることをAIに指摘されて以来、この問題には特に慎重になっています。
では、どうやって応援するのか。答えはシンプルでした。
「自分の世界観で描く」。
大正時代の女性が現代のサッカーボールを蹴る。それだけで十分、日本への愛着や応援の気持ちは表現できます。
ただ、日本代表のチームカラーである「青」は意識しています。
袴でボールを蹴るポーズを探して
作戦変更の賜物ではありません(笑)。もちろん最初からサッカーを描く予定でした。
袴姿の女性が現代サッカーをする。そのギャップを想像するだけで楽しかったんです。
袖が翻り、裾が舞う。和装特有の美しい動きを表現したいと思っていましたから。
まず1枚目のラフでは、着物姿でボールを蹴るポーズを探しながら何度も線を重ねていきました。足元はまだ下駄の段階です。

2枚目でようやく顔と髪型が定まりました。大正時代らしい日本髪に赤いリボン。自分でも気に入っている組み合わせです。

着物×ブーツ×袴という組み合わせ
大正時代は和と洋が混在した時代です。
女学生が袴に編み上げブーツを合わせる姿は、当時の写真にも数多く残っています。
私はそのスタイルが好きです。きっと共感してくださる方も多いのではないでしょうか。
伝統的な和装の中に、新しい時代への憧れや挑戦する気持ちが感じられるからです。
伝統と革新。古さと新しさ。その共存こそが大正浪漫の魅力だと思っています。

青と白と赤——日本の色で描く
サッカー日本代表といえば、青と白。まず思い浮かぶのがこの色ではないでしょうか。
着物は白地に青の絣模様。袴は深い藍色。赤いリボンは日の丸の赤をイメージしています。
ユニフォームを使わなくても、この色だけで日本らしさが伝わる。色彩の持つ力やイメージの強さを改めて感じました。


背景と文字——日章と漢字タイポグラフィ
背景には大きな赤丸を配置しました。
日の丸そのものというより、ポスター表現として取り入れてみました。構図としても力強く、日本を象徴できる形になったと思います。
文字は縦組みの漢字。「蹴球世界一決定戦開幕」「北中亜米利加大会」。こうした昔の表記を取り入れることで、大正浪漫の世界観をより強く表現できました。
右下には落款も配置しました。ポスターというより、一枚の版画作品として仕上げたいという思いがあったからです。


蹴球世界一決定戦、頑張れニッポン
誰かの素材を一切借りることなく、日本代表を応援する作品が描けました。自分の世界観だけで表現できたことが、なんだかとても嬉しく感じています。
今回の作品を通じて改めて思ったのは、著作権と誠実に向き合うことは制約ではなく、むしろ自分自身のスタイルを磨くことにつながるということです。
サッカー日本代表の健闘を願いつつ、自分なりの表現でエールを送りたいと思います。

頑張れニッポン!!

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