この記事でわかること
- アクセス解析で「海外から急に人が増えた」と喜ぶ前に、確認しておきたいポイント
- 「人数」だけでは見抜けない、ボット・クローラーの見分け方
- ちょっとした違和感を、Claudeと一緒にデータで裏取りしていく過程
Google アナリティクス(GA4)のホーム画面を開くたびに、ちょっとした答え合わせのような気分になります。「今日はどこの誰が、私のブログを見に来てくれたのだろう」と。ちょっとした、密かな楽しみの時間です。
ところが、いつものように眺めていたら、思わず二度見する数字が飛び込んできました。これ外国勢ばかりやん!?
今日はそんなお話です。
国別アクティブユーザー数(直近28日間)
※GA4ホーム画面「国別」データより、上位5か国を抜粋
1位はもちろん日本(64人)。ここまでは想定内です。
ところが2位に、想像もしていなかった数字が並んでいました。シンガポールから45人。3位以下の中国(10人)やアメリカ(6人)と比べても、頭ひとつ抜けています。
「もしかして、大正浪漫とか和風のイラストって、東南アジアの方にも刺さるものがあるのかも……」
と、一瞬そんな期待で胸がふくらみました。そもそも、このブログを始めたきっかけが、海外イラスト販売戦略でしたから。ついにその苦労が報われた――そんな気持ちになりました。
おい、ちょっと待って──グリーンランドの「0」

ただ、浮かれたのも束の間でしたね。
GA4のホーム画面には、国別データを世界地図の上に表示してくれる機能があります。うれしくなって、マウスを地図の上でうろうろさせてみました。
試しに、グリーンランドにカーソルを合わせてみます。出てきた表示は「0」。そりゃそうです(笑)。あんな遠くから、私のブログを見に来る人はいません。
でも、そこでふと我に返りました。「じゃあ、シンガポールの45人は、いったいどんな人たちなんだろう?」
日本の次に多いのが、東南アジアの小さな国。冷静に考えると、ちょっと不思議です。
「これ、本当に(人間が)見に来てくれているんだろうか?」
と不安が頭をよぎりました。それでも、せっかくなので、Claudeと一緒にもう少し丁寧に数字を掘り下げてみることにしました。
Claudeと「市区町村」まで掘り下げてみた
ちなみに、Claudeと一緒にアクセスの数字を検証するのは、これが初めてではありません。以前は「Google検索から自分のブログが消えた!?」という件を、AIと一緒に調べました。今回も、困ったらまず相談です。
GA4には、国よりもさらに細かい「市区町村」の単位でアクセス元を見られるレポートがあります。普段はそこまで細かく見ることはないのですが、Claudeに相談しながら、この切り口でデータを確認してみることにしました。
ちなみに、この「市区町村」レポートの開き方は、初心者向けに別の記事でまとめました。「GA4で国別・市区町村別のアクセスを見る方法」です。
すると、一覧表に並んだ地名を見て、思わず「あれ?」と声が出ました。松山(Matsuyama)や大阪(Osaka)といった、聞き慣れた実在の都市名に混じって、なぜか「Singapore(シンガポール)」という表示が、国名のまま出てきていたのです。
本来「市区町村」レベルの精度で位置情報が取れていれば、シンガポール国内のどこかの地区名(たとえば「〇〇区」のような単位)が表示されるはずです。それが「Singapore」という、国レベルの粒度のまま止まっている。これだけでも、少し引っかかる材料でした。
決定打は「Prineville」という地名でした
そして、数字を見比べてみて、違和感が確信に変わりました。注目したのは「平均エンゲージメント時間」──つまり、ページを開いてから離脱するまでの滞在時間の平均です。
市区町村別・平均エンゲージメント時間
※Prinevilleは、MetaやAppleなどの大規模データセンターが置かれていることで知られる地名
市区町村別・平均エンゲージメント時間
松山からのアクセスは1分28秒、大阪からは2分02秒。どちらも、記事をちゃんと読んでくれている人らしい、自然な数字です。
ところがシンガポールは、45人全員の平均が「0秒」(おいおい!)。なんと、1秒も滞在せずにページを離れている計算になります。人間が45人もそろって、そんな行動を取るというのは、まず考えられません。
さらに決め手になったのが、一覧のすぐ近くに並んでいた、もうひとつの見慣れない地名でした。「Prineville(プラインビル)」。
調べてみると、これはアメリカ・オレゴン州にある地名で、Meta(旧Facebook)やAppleなどの大規模データセンターが置かれていることで知られる場所だったのです。
データセンターの所在地からのアクセスで、滞在時間が0秒。ここまでそろうと、正直、答えは出たようなものでした。
結論、これはボットでした
「シンガポールから45人」の正体は、人間の読者ではなく、クローラーやボットによる機械的なアクセスだった可能性が高い──というのが、Claudeと一緒に出した結論です。
ちょっと解説|ボットって何?
■ ボットとは
人間ではなく、プログラムが自動でWebサイトを見に来ることです。「ロボット」を縮めた呼び方で、「クローラー」とも呼ばれます。Googleが検索用に記事を集めて回るような「役に立つボット」もいれば、サイトの弱点を探すような「迷惑なボット」もいます。
■ なぜ、海外のアクセスに混ざるの?
ボットは、世界中のデータセンター(サーバーがずらっと並んでいる施設)から動いています。そのため、GA4では「その国から来た人」のように記録されることがあります。今回のSingaporeやPrinevilleも、そうしたデータセンターの場所だった可能性があります。
■ ボットを疑うサイン
※GA4には、よく知られたボットを除外する仕組みがありますが、すべてを防げるわけではありません。多くのサイトで、日常的に起きていることです。
ボットの基本は、前回の記事「ブログのPVが減って不安なら|ボット混入とSearch Consoleを確認」でも書いています。今回はその海外版です。
💬 分からない言葉が出てきたら、画面の右下のチャットから、気軽に聞いてみてください。
正直、がっかりしましたね……。海の向こうの誰かに届いたかも、という淡い期待は、あっさり空振りでした。それでも原因がはっきりして胸騒ぎは消えましたし、「数字の見方」をひとつ勉強できました(そう思うしかない)。
学んだこと──「人数」より「滞在時間」
今回の一件で身にしみたのは、海外からのアクセス数だけを見て一喜一憂してはいけない、ということです。「人数」という数字は、いちばん目に入りやすい分、いちばん惑わされやすい数字でもあるのだと思います。
今回の学びのポイント
- 海外からのアクセス数は、「人数」だけで喜ばない
- 「エンゲージメント時間」「直帰率」もあわせて確認する
- 滞在時間が極端に短い・0秒に近い場合はボットを疑う
- 市区町村レベルの粒度が粗い(国名のまま等)表示も、ボットのサインになりうる
これからは、国別の人数を見るときは、必ず「エンゲージメント時間」や「直帰率」(ページを開いてすぐ離脱した割合)とセットで確認するようにしようと思います。人数が多くても滞在時間が極端に短ければ、それはボットを疑うサインです。
なお、今回きちんと検証できたのはシンガポールだけです。中国やアメリカ、ドイツなど、他の国からのアクセスについては、まだ同じ確認をしていません。もしかしたらそちらの中にも、同じようなボットが紛れているかもしれませんし、逆に本当に読みに来てくれている方がいるのかもしれません(その可能性は少ないですが……)。それはまた、あらためて確認してみようと思います。
浮かれて終わるはずだった朝が、思いがけずGA4の勉強になった一日でした。同じように海外アクセスの数字に心を躍らせている方がいたら、ぜひ一度、滞在時間もあわせて覗いてみてください。
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