なぜ?AIは会話を覚えてくれない?「メモリ機能」の落とし穴【50代からのAI活用術・第12回】

AIの前で驚く50代男性と、それぞれ別の記憶を持つ3体のAIキャラクター|AIのメモリ機能の限界を表すイラスト
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この記事でわかること

  • AIはどこまで会話を記憶してるの?
  • AIと言えど万能ではない
  • その場合の対応は?
目次

はじめに

新しいチャットを開くたび、同じことを何度も説明しなければならない。

AIを使い始めた頃、私はそんな悩みを抱えていました。

「あの、それさっきも言ったよね……?」

AIに向かって、そう突っ込みたくなったことはありませんか?

私はあります。何度も(笑)

しかも、突っ込んでいた相手はAIではなく、自分自身の勘違いだったことに後から気付きました。

毎回、同じ自己紹介をしていました

新しいチャットを開くたびに、私はこう入力していました。

「過去の会話から前の作業の続きをお願いします。」

これが毎回です。

というか、それが当たり前になっていました。

考えてみれば当然の話で、新しいチャットは、同じAIを使っていても基本的には「初対面」です。

AIからすれば、私は初めて会う相手。

私が何者で、どんな活動をしているのか知る由もありません。

……とはいえ、

「少しくらい覚えていてよ〜!(笑)」

という気持ちになったのも事実です。

「メモリ機能」の存在を知った日

そのモヤモヤが晴れたのは、ある日ふと設定画面を見たときでした。

「これをオンにしたらどうなるんだろう?」

設定を覗いてみると、そこには「Generate memory from chat history(過去の会話から記憶を生成する)」という項目がありました。

要するに、AIが会話を勝手に要約して、屋号や目標みたいな「よく話す内容」を一晩かけてまとめておいてくれる仕組みらしいのです。

ただし、「話したこと全部を録音するテープレコーダー」ではなく、「AIなりに大事だと判断した部分だけ」を覚える、という点がポイントでした。

軽い気持ちでメモリ機能を有効にしてみると……

次に新しいチャットを開いたとき、AIは私の屋号や5ヵ年計画など、普段よく話している内容を覚えていてくれました。

正直、少し鳥肌が立ちました(笑)。

「自己紹介しなくていいって、こんなに楽なんだ。」

そう思ったのを今でも覚えています。

でも、万能ではありませんでした

ところが、使い込むうちに限界も見えてきました。

メモリ機能は便利ですが、「一度話したことを全部覚えてくれる機能」ではありません。

屋号や活動内容、よく話すテーマ、長期的な目標などは覚えてくれることがあります。

一方で、最新の進捗、細かな数字、プロジェクトごとの詳細な情報までは、自動ですべて共有されるわけではありません。

そして何より気付いたのが、

プロジェクトをまたぐと、細かな情報までは自動で引き継がれない

ということでした。

「全部忘れる」わけでも、「全部覚える」わけでもない。その中間だったのです。

そもそも「プロジェクト」って何?

ここで少し補足させてください。

「プロジェクト」というのは、Claudeの中に作れる、作業ごとの専用の部屋のようなものです。

部屋の中にはいくつも会話(チャット)を作れて、同じ部屋の中にある会話同士は、記憶や資料を共有します。

逆に、別の部屋(別のプロジェクト)にある会話とは、記憶は共有されません。

図解:プロジェクトとチャットの関係

図解:プロジェクトとチャットの関係

プロジェクトA
(例:イラスト業務)

チャット:5ヵ年計画
チャット:確定申告の相談
チャット:記事執筆

プロジェクトB
(例:別の作業用)

チャット:別の相談

同じプロジェクトの中のチャット同士は記憶を共有。プロジェクトが違うと、記憶は共有されません。

これさえ分かっていれば、今回の私の混乱も防げたはずでした。分かっていたつもりで、実際には分かっていなかった、といういい例です(笑)。

先日、まさにこの「壁」で本当に混乱しました

頭では分かっていたつもりでした。

でも、実際にやらかしたのはつい先日のことです。

以前、別の作業のために作っていた「引き継ぎ用の資料」を、深く考えずにそのままAIに貼り付けて相談を始めました。

すると、返ってきた反応が、こちらの認識と全然違う。

「ブログの記事数が、把握していた数字と合っていません」

「解決したはずの案件が、全く別の展開で進んでいることになっています」

「そもそも、こちらでは見覚えのない設定が紛れ込んでいます」

一瞬、「AIがおかしくなった?」と本気で思いました。

でも、落ち着いて聞いてみると、種明かしはシンプルでした。

「その資料は、このプロジェクトのものではなさそうです」

そうAIに指摘されて、ようやく気付きました。

私が、別の作業をしていた時のプロジェクトの資料を、間違えてこっちに持ち込んでしまっていたんです。

さらに、ややこしい後日談がありました

実はこの話には続きがあります。

「じゃあ、いつも使っているあの管理用チャットも、実は別のプロジェクトだったんじゃないか……?」

と、急に不安になって確認してみました。

結果は、まさかの逆でした。

そのチャットは、最初から今と同じプロジェクトの中に、ずっと入っていたんです。

画面の一番上に出ている「プロジェクト名/チャット名」という表示(いわゆるパンくずリスト)を確認して、ようやく分かったことでした。

「別プロジェクトだと思っていたら実は同じ」「同じだと思っていたら実は別」。

人間の思い込みは、AIの記憶よりよっぽど当てにならないものだと痛感しました(笑)。

「専用の部屋」を作ることで、ようやく落ち着きました

この一件から学んだのは、

情報の置き場所は、自分の思い込みではなく、画面表示で確認する、ということでした。

「AIが全部覚えてくれる」と期待するのではなく、「記憶の置き場所は自分で管理する」。

そう割り切ったところ、驚くほどスムーズに使えるようになりました。

プロジェクト機能、こう使うと便利でした

やること 効果
テーマごとにプロジェクトを分ける 話題が混ざらず、記憶もすっきり整理される
よく使う情報はプロジェクトにまとめておく 毎回コピーしなくても、会話の中で参照してくれる
別プロジェクトの資料を持ち込むときは要注意 貼り付ける前に「どのプロジェクトのものか」を確認する
AIの回答と認識が食い違ったら、まず画面表示を確認 思い込みではなく、事実で判断できる

AIは「何でも覚えてくれる相棒」ではない

この経験を通して、私の中で一つ考え方が変わりました。

AIは、何もかも察してくれる魔法のような存在ではありません。

でも、必要な情報を整理して渡せば、その情報をもとに一緒に考えてくれる、とても頼れる仕事仲間です。

これは人間同士の仕事の引き継ぎにも少し似ています。

引き継ぎ資料がなければ、どんなに優秀な人でも困ります。

AIとの付き合い方も、結局は同じなのかもしれません。

今回の学び

今回学んだのは、「AIに全部覚えてもらうこと」ではありませんでした。

大切なのは、「AIが使いやすいように、自分で情報を整理すること」。

そして、思い込みではなく、画面表示で事実を確認すること。

この考え方に変わってから、AIとの付き合い方はずいぶん楽になりました。

最近ではChatGPT、Claude、Gemini、それぞれに得意なことがあると感じています。

だから私は、「どのAIが一番優秀か」を考えるより、「どの仕事を、どのAIにお願いするか」を考えるようになりました。

AIは何でも覚えてくれる相棒ではありません。

でも、情報を整理して渡せば、一緒に考え、一緒に成長してくれる頼もしい仕事仲間です。

それが、この一年で私がたどり着いた答えでした。

次回予告

次回は、そんなAIたちに「本音」をぶつけてみた話をお届けします。

ChatGPT、Claude、Gemini。一番正直だったのは誰なのか。54歳、ちょっとした実験の結果を書いてみたいと思います。

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この記事を書いた人

コロナ禍をきっかけに絵を約40年ぶり?に描き始める。「心に残る1枚を」をテーマに色々なジャンルで絵を描いてます。

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